高齢者人口の増加に伴って、75歳以上の医療費の自己負担額を2割に引き上げることが検討されています。

この医療負担額の変更によって起こる様々な影響の中でもメリットとなるのが財政の健全化です。
個人によって若干の違いはありますが、2割になることで金額が年間で一人当たり数万円増えると言われています。
日本の総人口に対して75歳以上の高齢者は約1800万人いるため、1年間で確保できる財源は約5400億円です。
少子化が原因で、税金による財源の確保が難しい状況においてこの点は大きな魅力と言えます。
病院を利用している高齢者の中には、病気の予防や治療が目的ではなく、生活のルーティーンのように通っている人も少なくありません。
医療費の負担が増えれば気軽に行くことができなくなるため、現場の医師や看護師の負担を減らせるようになります。

医療負担増によって起こり得るデメリットの一つが受診控えです。
75歳以上の高齢者の多くは年金で生活を賄っているため、負担が増えるようになれば必然的に通院する回数を減らさざるを得ません。
利用者が減ればそれだけ入ってくるお金も減ってしまうので、財源の確保が難しくなります。
個人診療をはじめとした中小規模の病院の場合、収入が減れば経営が悪化して存続が難しくなるという点もデメリットの一つです。
この受診控えによるデメリットは病院側だけではありません。
本来受けなくてはいけない診察や治療を行わないままでいれば、健康状態に悪影響を及ぼすことも考えられます。

負担が増えても安心して通院できるような環境を整えることが今後の課題です。